美浜の自然見て歩記〜海辺観察〜その24

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美浜町の三河湾側には河和口に代表される砂浜が発達し、
時期にはアサリを目当てに潮干狩りで賑わいます。
また、伊勢湾側には冨具崎に代表される磯が発達し、
干潮時には潮だまりの生き物たちが楽しませてくれます。
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その24  よく見ればペンタゴン(五角形)<ハスノハカシパン>
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 浜を歩いていると丸くて白く扁平な、せんべいみたいなもの(写真@)が打ち上がっていることがあります。その正体はハスノハカシパンというウニのなかまの殻です。このように死んだ個体の殻を見ることはよくありますが、砂の中に潜った、下の写真のように生きた個体を見ることはあまりありません。
(このウニは2008年1月3日に河和口の浜で見つけました。)

 よく見ると写真@のように5枚の花びらのような模様が見られます。これはウニが五放射相称(体に5本の対称軸を持つ構造)の生き物であるあかしです。
 さらによく見ると写真の下に示したように、五角形に近い姿を持つことがわかってきます。写真@のウニでは右端は平たい直線的な構造を持ち、左端は尖っているのです。このことは写真Aのように、生きた個体を観察するとさらに良く分かります。(写真Aはウニの底面を見ています。)

 さて、ウニでも動物ですからエサとなる海藻を食べ、養分を吸収し、排出物を肛門から出すということをしながらいきているわけですが、その口と肛門はどこにあるのか?このことに関して私はずーっと“口は底面に肛門は上面に”と信じておりました。
 たしかに“口は底面に”というのはどのウニでも共通なことのようで写真Bがハスノハカシパンの底面にある口です。ところが“肛門は上面に”というのは、写真Cのようなまん丸のウニ(サンショウウニ、バフンウニやムラサキウニなど)では言えることであり、カシパン類やブンブク類では違うのです。
 では、ハスノハカシパンの肛門はどこにあるのか?…それは写真Dに示したように周辺部、すなわち側面にあるのです。この写真Dは写真@のウニを左方向から見た状態になりますので、左端の五角形の尖った所が肛門、右端は肛門と反対側…すなわち頭側?ということになります。そう思って写真Aを見てみるといかにも右側へ進んでいきそうな棘の生え方ではありませんか!

 ちなみに写真Eはオカメブンブクの肛門。同様に側面にあります。
 (2008.1.3)
A
B
C D E